日本触媒

日本核酸医薬学会第9回年会にてポスター発表を実施いたしました。【 リガンド付加型核酸原薬の分析検討 】

発表内容

演  題:リガンド付加型核酸原薬の分析検討

演題 (英):Analytical study on ligand-conjugated oligonucleotides

発 表 者:日本触媒 健康・医療事業室 研究グループ

     田中 優貴/Yuki Tanaka

背景

特定の臓器や細胞へ選択的に送達するため、標的に応じたリガンドを有する新しいモダリティの核酸医薬品が数多く開発されており、近年承認された核酸医薬品では GalNAc がリガンドとして幅広く用いられている。また、疾患部位に対する選択性や有効性を大幅に向上可能な次世代核酸医薬であるヘテロ2 本鎖核酸(HDO)においても、Tocopherol や Cholesterol をはじめとした様々なリガンドが使用されている。当社では高品質な核酸原薬を幅広く提供するため、リガンドを持たない核酸原薬だけでなく、以上のような特殊なリガンドを有する核酸原薬に対しても高度な合成/精製および分析法の開発に取り組んでいる。

研究内容

今回我々は、GalNAc/Tocopherol/Cholesterol が結合した各リガンド付加型モデル核酸原薬を用いて、イオンペア逆相クロマトグラフィー(IP-RP)および陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)における分析特性を評価した。核酸原薬の代表的な不純物であるヌクレオチド欠損体に着目して各分離モードのプロファイルを確認したところ、親水性リガンドである GalNAc と疎水性リガンドであるTocopherol/Cholesterol でヌクレオチド欠損体の溶出挙動が大きく異なることがわかった。それぞれのリガンドに適した分離モードを選択することでヌクレオチド欠損体を効率的に分離できるため、より高水準な品質評価が可能となることが示された。また、効率的なヌクレオチド欠損体の分離は精製工程においても効果を発揮すると期待できる。そこで、各リガンド付加型モデル核酸原薬の合成クルードからFLP を分取して純度を比較したところ、選択した分離モードとリガンド種類の組み合わせに応じて精製効率に顕著な差が認められた。
以上より、本技術は高純度かつ高品質なリガンド付加型核酸原薬の提供を実現するための有用な手法になると期待される。

学会概要

【学 会 名】日本核酸医薬学会第 9 回年会

【会  期】2024 年 7 月 15 日(月)~ 7 月 18 日(木)

【会  場】仙台国際センター

【公式サイト】https://www.natsj.jp/2024/natsj9