第41回日本DDS学会学術集会にてポスター発表を実施しました。【新規生体適合性DDSポリマー(PGLMMA)で修飾したmRNA-LNPを用いたin vivo発現確認およびin vitro発現に影響する因子の検討】
2025年6月17日(火)・18日(水)に幕張メッセで開催された第41回日本DDS学会年会においてポスター発表を行いましたので、抄録に掲載した内容をご紹介いたします。
発表内容
演 題 | 新規生体適合性DDSポリマー(PGLMMA)で修飾したmRNA-LNPを用いたin vivo発現確認およびin vitro発現に影響する因子の検討 |
演 題(英) | Studies on in vivo gene expression of mRNA-LNP modified with a novel biocompatible DDS polymer and on the factor contributing to in vitro expression. |
発 表 者 | 株式会社日本触媒 健康・医療事業推進本部 健康・医療研究開発部 今瀬 将人/Masato Imase |
※PGLMMA は、poly(glycerol monomethacrylate)の略称です。
緒言
ナノ粒子製剤においては、製剤の凝集抑制や体内でのステルス性付与を目的に親水性ポリマーの表面修飾が汎用される。ところが近年、ポリマーに対する抗体産生が確認され、非免疫原性ポリマーへの希求が高いことから、我々は新規DDSポリマーである両親媒性ポリマー(C18-PGLMMA)の開発を進めている。PGLMMA修飾リポソームはマウスに投与しても抗体産生が起こりにくく、ABC現象も起こりにくい。また、脂質組成を最適化したPGLMMA修飾LNP-mRNA(修飾LNP)において、in vitroでmRNAが高発現する事を2024年度の学術集会にて報告した。今回の検討では、PGLMMA修飾LNPのin vivoでの発現確認と、in vitro発現に影響する因子について検討を行ったので報告する。

実験方法
モデルmRNAとして、ルシフェラーゼ(Luc)をコードするmRNA(Luc-mRNA)を用いた。mRNAを内包した修飾LNPをマウスに尾静脈より投与し、一定時間後に基質を投与した際の発光量をIVISにて測定した。in vitro発現試験にはヒト乳がん細胞株(MCF-7)を用い、各種試験物質を一定時間作用させた後にLNPを添加、またはLNPの添加と同時に試験物質を添加し、一定時間培養後に基質を添加して発光強度を測定した。
実験結果と考察
マウスへの投与後4h、24hにおいてルシフェリン発光が肝臓で確認され、72hにおいては発光がほぼ消失した。この間、被験物質投与による体重減少は見られなかった。この結果から、修飾LNPを投与する事でin vivoでもタンパク質発現が起こる事が確認された。修飾LNPのin vitro高発現の現象解明として実施した各種添加物の影響検討において、glucoseやdexamethasoneの添加は修飾LNPの細胞取込みを増強し、CuSO4添加は即時的かつ顕著に取込みを減少させた。これらの物質添加による細胞内の変化が修飾LNPの取込み制御に関わっていることを示唆している。今後、in vivoでの発現をより向上させるLNP組成の検討と、in vitroでの修飾LNP高発現のメカニズム解明の実施を予定している。
学会概要
学会名 | 第41回日本DDS学会学術集会 |
会 期 | 2025年6月17日(火)~ 6 月 18 日(水) |
会 場 | 幕張メッセ国際会議場 |
公式サイト | HOME | 第41回日本DDS学会学術集会 |