日本触媒

日本核酸医薬学会第10回年会にてポスター発表を実施しました。【実験計画法を用いたオリゴ核酸のイオンペア逆相液体クロマトグラフィーの分析条件最適化】

2025年7月1日(火)~7月3日(木)に神戸国際展示場2号館で開催された日本核酸医薬学会第10回年会においてポスター発表を行いましたので、要旨集に掲載した内容をご紹介いたします。

演 題実験計画法を用いたオリゴ核酸のイオンペア逆相液体クロマトグラフィーの分析条件最適化
演 題(英)Optimization of Analytical Conditions for Ion-Pair Reversed-Phase Liquid Chromatography of Oligonucleotides Using Design of Experiments
発 表 者株式会社日本触媒 健康・医療事業推進本部 健康・医療研究開発部
前田 果歩/ Kaho Maeda

化学合成により製造される核酸医薬品は、その製造工程で1塩基欠損体や1塩基付加体、PS→PO置換体などといった様々な種類の不純物が生じる可能性がある。品質管理においては、イオンペア逆相液体クロマトグラフィー(IP-RP)を用いて不純物を分離して評価する方法が一般的であるが、複数の分析パラメーターによって不純物の分離パターンが変化するため、対象配列ごとに適切な分析条件を設定する必要がある。堅牢で信頼性の高い試験法を迅速に開発する手法として、近年では科学とリスクに基づき体系的に分析法を開発するAnalytical Quality by Design(AQbD)の考え方が注目されている。

本研究では、実験計画法を用いてIP-RPの複数の分析パラメーターを効率的に最適化する手法の開発を行った。分析対象として、PS修飾された16merの核酸に対して6種類(1塩基欠損体、1塩基付加体、PS→PO置換体、シアノエチル基付加体など)の不純物を添加した核酸を用いた。イオンペア試薬の濃度、カラム温度、グラジエントを検討する分析パラメーターとした空間充填計画により20点の実験条件を設定し、IP-RPにて実験を行った。得られたデータから応答曲面法を用いて各不純物のピーク幅および保持時間を予測するモデルを作成し、目標とする分離度を達成する試験条件を予測した。本試験条件で実験を行った結果、予想された分離度とおおむね一致する結果が得られたことから、本手法の妥当性を確認できた。また、各分析パラメーターが分離に与える影響を体系的に把握することができた。本手法はIP-RPに限らず様々な分離モードの液体クロマトグラフィーに適用できる可能性がある。また、AQbDに基づきパラメーター間の相互作用を評価するため、短時間で非常に広範な知識ベースが獲得できると期待できる。

ポスター発表風景
学 会 名日本核酸医薬学会第10回年会
会 期2025 年7月1日(火)~ 7月3日(木)
会 場神戸国際展示場2号館
公式サイトhttps://www.natsj.jp/2025/natsj10