日本触媒

ホスホロチオエート核酸の脱硫抑制に関する論文がTetrahedron Lettersに掲載されました。

核酸医薬品に汎用されるホスホロチオエート (PS) 修飾は、切出・脱保護工程において部分的な脱硫を引き起こすことが知られています。

脱硫によって生じた不純物は、目的オリゴヌクレオチドと物理的性質が酷似しているため、精製による分離が困難になるといった問題が生じることがあります。
そこで本研究では、脱硫不純物の生成を抑制するため、新たな切出・脱保護法を開発しました。
その結果、反応液中に還元性無機塩を添加することで、脱硫不純物の生成を抑制できることを見出しました。
また、本手法は既知の脱硫抑制法と比較して優れた脱硫抑制能を示し、様々な環境・配列下においても効果的に脱硫を抑制できることが判明しました。

今回開発した切出・脱保護法は、核酸医薬製造における不純物制御の課題の一部を解消し、高品質な核酸医薬品の提供に貢献できると期待されます。


Takaki Habuchi, Yuri Terao, Masayuki Utsugi

A robust method using reducing inorganic salts for preventing the desulfurization of phosphorothioate oligonucleotides during the cleavage and deprotection step

Tetrahedron Letters 133 (2023) 154843

DOI:10.1016/j.tetlet.2023.154843